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■2007/07/20(金) 「ゴルフGT TSI」試乗 

少し前の話になるが、「ゴルフGT TSI」に試乗して来た。
クルマ好きの方なら「ああ、アレだな!」とピン来ることだろう。
そう、話題のアレである。
発売されたのが今年の2月頃だったので、随分遅いインプレではあるが、以下、私なりに感じたことを簡単に綴りたいと思う。
尚、予めお断りしておくが、試乗のコースは4キロ程でその時間も15分程度であったことを付け加えておく。
又、このインプレは例によってあくまでも私個人の多分に偏った主観的なものであることもご承知おき頂きたいと思う。
■2007/07/20(金) 「ゴルフGT TSI」試乗 _e0002472_23594438.jpg

今更、細かな説明やディメンションについては触れる必要もないだろう。
従って、試乗そのもののインプレのみ述べてみたい。

(1)外観
私は個人的にどうも最近のVW&Audiの顔が好きではない(苦笑)。
ゴルフでもGTIのツートンの顔も嫌いである。
その点、この「GT TSI」は色分けが施されていない分、好感が持てる。
ただ、全体的なシルエットは多分にドイツ的で色気に乏しい。
けれども、ゴルフとしては「4」以降、微妙に曲線を取り入れ、最近のトレンドを意識してはいるようだ。
まぁ、個人的にはゴルフはやはりスクエアなカタチが最も”らしい”と思うのだが。
蛇足だが、307に比べれば車高がかなり低く、やや乗降しずらく感じるのは私だけか?

(2)内装
良くも悪くも最近のVWの文法に沿ったものだと言える。
ただ、個人的にはメディアが唱えるほどのプレミアム感(高品質感)は感じないのが正直なところ。
それはダッシュボード周辺、特にセンターパネルのオーディオ関係周辺パーツの質感において特にそのように感じられる。
反面、シートは相変わらず座面が長く、表面も硬めで良く出来ていると思う。
ドラポジもいとも簡単にすんなり決まる。
そこから見える風景は紛れも無く確かにゴルフの世界だ。
まぁ、なんだかんだと言っても307と比較すればそれなりのアドヴァンテージはあるかも知れないが、私のような偏屈者には余計なモノが付き過ぎた室内空間だと思う。
ゴルフはもう少しシンプルかつ根本的に高品質になって欲しいものだ。
それは単に”光りモノ”が増えればいい、と言うものでもないだろう。

(3)エンジン
確かに1400ccの排気量は全く感じさせない。
発進から十分にトルクフルで速い。
ただ、主観的にはあまりにもスムーズ過ぎて拍子抜けしてしまう(苦笑)。
DSGの出来も確かにいい。
けれども個人的には「それがどうした?」と言う印象だった(苦笑)。
エンジン音は良く抑えられており、運転席に届く音は決して不愉快なものではないと思う。
けれどもVWの血がそうさせるのか、やはり色気が足りないとも感じられる。
「207GT」と比較すれば、その違いは歴然だ。
ただ、どちらを好むかは本人の嗜好なので、断定は出来ないが。
まぁ、300万以上するクルマの心臓としては(その存在意義も含めて)まずまず合格だろう。

(4)サスペンション
前後ともに十分にコストのかかったもの。
乗ってみるとすぐそれが体感出来る。
「307」のようなバタバタ感は皆無だし、「207GT」のような塊感も無い。
非常にクセのない、しなやかな足回りだ。
4リンク(所謂”マルチリンク”)が奢られたリアはロールを極力抑えて大変安定した走りを支えてくれるのが良く分かった次第。
けれども「So what?」を心の中で連発してしまった私。
う~ん、何かが足りない。
良く出来ている。
本当に良く出来ている。
それは十分に認めよう。
が、しかし・・・。

(5)総評
結論から言えば「紛れもないゴルフ」である。
そして、その完成度はとても国産車の及ぶところではない。
加えて、大排気量並みのパワーと高い経済性を併せ持った優秀なエンジン。
ゴルフは従来の優れた資質にエコロジーまでも標榜するに至ったのだ。
そう言う点では満足度の大変高い製品だと言える。
従って、”普通の人”に薦める輸入車の第一候補だと言う位置付けは今も昔も変わらない。
適度なサイズや運転のし易さと高い安全性は万人に訴求するものだ。
ゴルフは本当に良く出来た、徹底的にネガが潰された工業製品だと思う。
それはあくまでも”常識”と”節度”を念頭においたVWならではの美点に溢れたクルマだと結論付けることが出来よう。
但し、それはプジョー好きの私の目指すベクトルとはやや異なるものだと思う。
私自身としてはクルマ好きには是非、「207GT」の塊感を推したい。
「ゴルフGT TSI」はスパルタンなクルマではない。
どちらかと言えば、ゆったりとした運転に向いていると言えよう。
思えば、ゴルフは「2」までははっきりとした主張があったように思える。
13インチの細いタイヤを履く「CLi」でさえ、あの”地面に吸い付く感じ”を私に強烈に印象付けたものだ。
そのような強い主張が「GT TSI」も含めて今のゴルフにあるか、と聞かれたら「No」と言わざるを得ない。
それはゴルフの洗練の度合いがかなり上がったことの裏返しなのだろう。
今や、ゴルフはVWプレミアム路線の一角なのだから。

ゴルフはこれまで世界の自動車メーカーのある意味ベンチマークとされて来た。
確かに、まだまだゴルフらしさや独特のアドヴァンテージもあるだろう。
上記の様に買って間違いがないクルマの最右翼に依然として位置していることは疑いがない。
けれども、個人的にはメルセデス同様、残念ながら多分に”トヨタ車化”しているように思えてならない。
「2」で強烈に感じられた、あの個性。
原始的だが、強靭なボディとサスペンション。
五月蝿くて速くもないがとても安心出来るエンジン。
肉厚なプラスティックがふんだんに使われていた室内。

私は「2」を越えるゴルフをいまだ知らない・・・。
(但し、今日現在、未だ「GTI」には試乗していない。プジョーにも相通ずる感覚がそこに存在するのかどうか大いに興味があるところだ。)

ゴルフのオフィシャルサイトはコチラ
Commented by r.h.2000 at 2007-07-21 08:00
詳細な試乗記、楽しく読ませていただきました。

ゴルフ「GTI」に乗っている友達に話を聞いたのですが、「GT」は低速でも足が良く動いており、市街地でも乗り心地が良くて、普段に乗るなら、「GT」で充分で、かえってメリットもありそうな事を言ってました。「GTI」は市街地では足が動かず、一般道でのスピードでは乗り心地厳しいそうです。が、高速道路や田舎のワインディングに持ち込むと、しなやかでとても快適だと言ってました。「GTI」オーナーとしては、「GTI」と「GT」のどちらを勧めるか?難しいようです。

確かに、dannaさんが指摘されているように、ゴルフGTは、ゆったり運転するオーナー向きに作られている感じですね。スパルタンではないと思います。そして、GTIも、スパルタンでは無さそうな感じですね。
個人的には、ツインチャージャーの経年劣化や、DSGの熟成度がかなり気になっています。
Commented by r.h.2000 at 2007-07-21 08:09
申し訳ありません。続きです。
あと、ゴルフの外観が箱型から、丸みを帯びたデザインに変わってきましたが、車の中身まで、角が取れてしまったようで、外観と車の性格がリンクしているような印象を受けます。
これは、VWに限らず、メルセデスなども確かに、そうですよねぇ・・・。外観、性能とも尖がってなくて、マイルドになってきてますね。
ベンツのCやEなんて、エレガントなデザインに完全に変わってしまって、以前の強面はどこへいってしまったのか?時代の要求にアプライしすぎるのもどうかなぁ?と感じてしまいます。

今は、快適な車、尖ってない車が喜ばれる時代なのでしょうねぇ・・・。
まさに、そのような要求にピッタリなのが、トヨタ車なのでしょうね。
Commented by danna307 at 2007-07-25 00:09
★r.hさん
こちらこそ詳細なるコメントを頂き、誠に恐縮です。
書いていらっしゃることに、私もひとつひとつ頷きながら拝見させて頂きました。
私の補足等はいりませんね!
ただ、ゴルフ5GTIは依然として試乗してみたい最右翼のクルマではあります。
そのうち、きっと試乗してレポートを綴りたいと考えております。
その日をお楽しみに!
by danna307 | 2007-07-20 23:57 | クルマ | Comments(3)