■2011/01/16(日) ハーベスの音(2)

私はハーベス社のSPを2回所有したことがある。

1回目は「HL5」で1990年頃。
駆動したアンプはあの「A-1(ミュージカル・フィデリティ社製)」。
CDPは「B225(ルボックス社製)」。

2回目は「HLCompact7」で1995年頃。
そのときのアンプはオーラ・デザインの「VA-50(50W×2)」。
CDPはクォードの「QUAD66」だった。

そのいずれの音は、今思い出しても大変良いものだったと思う。
誰しも人生において、大なり小なりの後悔があるものだが、これら2つのシステムは本当に手放してしまったことを悔やんでいる私なのだ・・・。

まぁ、その辺のお話は今日の本題ではない(苦笑)。
当時使った2つのハーベスのSPについて綴ることである。

まず、「HL5」について。
おぼろげな記憶を辿れば、日本にハーベス製品が入って来た当初からこのシリーズは存在していたと思う。
最初は「HLモニター」とか何とかと言うネーミングが付けられていた。
サイズは一貫して700mm弱であり、大型ブックシェルフであった。
それは恐らく、イギリス等の一般的な家庭で使用可能なギリギリの大きさであったろう。
このモデルから、以前のやや貧弱な印象の仕上げは大幅にリファインされ、所有する喜びも与えるモノへと変貌した。
何より、その潔いまでのシンプルな造形。
そのシンプルさを引き立てるセンスの良い仕上げ。
加えて一見、何の変哲のないユニット構成。
私は外観からすぐさま「これは良いSPに違いない!」と確信したのだった。
まぁ、経年変化でボロボロになってしまうサランネットはご愛嬌だったが。

オーディオ製品はルックスも確かに大切だが、肝心なのはやはり音であるのは間違いない所。
その点「HL5」は期待を遥かに上回る音を奏でてくれた。
特筆すべきは、その豊かな鳴りっぷりであった。
音色としては極々普通なのだが、非常に自然で落ち着くのである。
(多分、楽器や自然界に存在する音の類に近かったのであろう、と推測される。)
全体の作りが少々ヤワかったとか、エンクロージャーを故意に鳴かす設計であるとか、パルシブなソースは苦手だとか、そう言うことはもはや問題では無かった。
十分な低域に支えられ、充実した中域、やや控えめであるけれども必要十分な高域・・・言葉で表現すればこのようになるだろうか。
それは以前使っていたフロアー型SPをもある意味凌駕する音だったのだ。
誤解を恐れずに言うならば、ほどほどの大きさのSPでありながら、部屋の空気を振動させることの出来る製品だった訳だ。
必然的に、私の部屋はコンサートホール然となり音楽にどっぷり浸れたのは言うまでもない。

私は当ブログでいつも次のような言葉を用いる。
★陰影のある音。
★実際のコンサートの如き生々しい音(適度な混濁感のある音)。
★弦楽器のさざめきを表現する音。
★ホールの空間を表現する音。
云々。

このときの音はまさにそれであった。
物理的に言えば、CDPのレンジがナローであるとか、アンプの出力が小さい(A級20W×2)とか、SPの低域のスピード感がやや劣るとか、色々あろう。
しかし、私にとっては唯一無二の音だったのは間違いない。
当時の音を振り返るとき、私は”薫り立つ音”と表現している。
それは、例えば森の中を散策するときの木々の匂いに近い、と形容出来ると思う。

私は足掛け四半世紀以上、オーディオ趣味を続けている。
けれども、手許にはずっと納得出来るような装置があった訳ではない。
”山”があれば”谷”もあったのは勿論である。
そのような私が未だにこの趣味を継続出来ているのは、このときの音を再現するか超えたいと思っているからに他ならない。

それほど「HL5」の音は私の感性に深く訴えてくれたのだ。
私はこのような素晴らしい経験をすることが出来たことに、ただただ感謝している。
思うに、このような経験は”美しいまま”にしておくことが肝要なのかも知れぬ・・・。

嗚呼、今回はついつい話が長くなってしまった!
「HLCompact7」のお話は次回にしたいと思う。
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★画像は「オーディオの足跡」様からお借りしました(詳しい仕様も同サイトでご覧になれます)。
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by danna307 | 2011-01-16 20:26