■2009/08/28(金) 今更「'Round About Midnight」。

人間、モノを理解するには時間が必要な場合があるらしい。
言い換えれば、若年期には無価値に思えたものが、中高年期には大きな価値を見出したりすることだろう。

このような傾向は音楽や文学において特に顕著なのではないかと思う。
今回取り上げるマイルス・デイヴィス(以下”マイルス”)の「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」も私にとってまさにそう言う一枚だ。

マイルスのことは、当ブログで今更触れる必要はあるまい。
とにもかくにも、ジャズ界の偉人である。
そして、本アルバムは彼のCBSへにおけるデビュー盤にあたる。
録音は1955年10月と1956年6月&9月。
惜しいかなその音はモノラルである。
しかし、ステレオ録音であることの必要性を全く感じさせない、実に素晴らしいアルバムだ。
先程、モノラル録音と書いたが、恐らくモノラルでの最高音質の一つなのではないだろうか。
マイルスの目指したであろう、クールで知的、かつ実にセンスの良い演奏が繰り広げられている。
その内容についても、ここでは敢えて触れない。

勿論、本作については以前からCDを所有していた。
但し、それは結構古いヴァージョンであった。
(裏ジャケットが黒いもので恐らく1990年前後発売のものだろうと推測される。)
音は可も無く不可も無く、と言うもので、単なるコレクションの1枚であった訳だ。
けれども、リマスター盤が欲しくなり、SACDを探したが入手困難だと分かり、今回の1枚を購入した次第。
本作は2005年6月発売の未発表の4曲を加えたもので、音質は前述の通り、かなり良い。
加えて「24bitリマスター(DSDリマスタリングではない)」でSNが大幅に改善されている。
結果的に、Dレンジの拡大にもつながっている訳だ。
にもかかわらず、音のトゲトゲしさが全くないのは大いに好感が持てる。
最近の技術の進歩に驚くとともに、リマスターに関わったエンジニアのセンスを感じる。
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実は最近、このアルバムばかり聴いているのだ。
このアルバムこそ、マイルスのエッセンスがもっとも凝縮された1枚だと思える。
しかも、未発表の4曲が加わり、ほぼ1時間、素晴らしいひとときが過ごせるのだから堪らない!
自分自身、若いときにはこれ程の良さを本作には見出せなかった。
けれども、今は全く異なる。
”音楽の本質”とでも言うべきものに、ほんの僅かではあるが少しばかり近付いたのであろうか・・・。

ジャズの本流を知るべき、まさにおすすめの1枚である。

<曲目>
1. ラウンド・アバウト・ミッドナイト
2. アー・リュー・チャ
3. オール・オブ・ユー
4. バイ・バイ・ブラックバード
5. タッズ・デライト
6. ディア・オールド・ストックホルム
7. トゥー・ベース・ヒット
8. リトル・メロネー
9. バッドオー
10. スウィート・スー,ジャスト・ユー

★CD発売日:2005/6/22
★収録時間: 58 分
★通常盤CD
★マイルスのアルバムはSACDを含めて様々なヴァージョンのCDがあるのでご注意を。
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by danna307 | 2009-08-28 14:23