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■2009/06/04(木) 黒田恭一氏のこと

今朝、新聞を読んでいて、ふと目が留まった。
あの黒田恭一氏が去る5月29日に亡くなられたとのこと。
享年71。

実はこの日が近いだろうと言う予感はしていた。
昨年秋の「NHK音楽祭」やこの春の「アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団」等のオンエアで拝見した氏の姿は、私の知る往年のエネルギッシュなものではなかった。
又、長年氏がパーソナリティを務めていた「20世紀の名演奏」もこのところ諸石幸生氏がピンチヒッターで担当したりしていた。
このような事柄から、氏の健康状態は芳しくないものと推測はしていた。

私が氏を知ったのは、学生時代にまで遡る。
当時、買い始めた「ステレオサウンド」や「レコード芸術」で氏の風貌と鋭い文章を見たことに始まる。
氏の批評はどちらかと言えば厳しいもので、それは氏の音楽に対する真摯な姿勢そのものだったと言えよう。
同時にオ-ディオに対する熱意と造詣も大変なもので、「ステレオサウンド」での氏の文章を食い入るように読んだものだった。

氏の大きな功績は、一般人へのクラシック音楽の普及における貢献だろう。
クラシック音楽と言う、普通の人々においては難解極まりない分野を、氏独特の分かりやすい言葉と豊かな表現力で広く紹介したのだ。
結果として、幅広い層の人々がクラシック音楽の虜となったのは言うまでもない。
かく言う私もその一人だと言って良いだろう。
今となっては、オペラについての氏の文章に殆ど(私の責任だが)触れることがなかったことが悔やまれて仕方がない。
本当のプロとは”難しいことを平易に伝えることが出来る”人たちだと思う。
氏はまさに、このような方であった。

氏の冥福を祈りたい。
Commented by einen at 2009-06-14 20:09
ご無沙汰致しました。
80年代前半に、NHK-FMに登場した時には気鋭というよりも、多くの人に
クラシックを紹介するというスタンスでした。爾来25年聞いていました。
吉田秀和氏の素っ気無さと、黒田氏の対照が面白いと感じたものです。

先週の20世紀の名演奏は、追悼の特集で、ピアソラを紹介したことも
挙げられていました。残念です。ご冥福をお祈りしております。
Commented by danna307 at 2009-06-15 10:01
★einenさん
いつもお世話になっております。
仰る通り、吉田氏と黒田氏の対比は興味深いものがありましたね。
多くの人にクラシックの門戸を開いた点は、氏の大きな功績と申せましょう。
氏のご冥福を祈りましょう。
by danna307 | 2009-06-04 23:03 | Comments(2)