■2009/05/21(木) ポリーニのモーツァルト

我がシステムで再生する通常CDの音はなかなか侮れないことがお伝えした通りである。
勿論、私の駄耳での判断なので、あくまでも”個人差”の範囲内のお話なのかも知れない(笑)。
まぁ、そんなことは置いといて早速第1回のレビューをお届けしたい。

記念すべき第1回に何を取り上げるか悩んだが、結局、ポリーニのモーツァルトを選んだ。
本CDが発売されたのが2008年3月なので、もう1年以上前の旧譜である。
しかしながら、最近のクラシックにおいては絶対に外せない1枚であると思う。
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★指揮とピアノ:マウリツィオ・ポリーニ
★管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
★曲目
 ピアノ協奏曲第12番イ長調 K.414
 ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
★録音:2007年ムジークフェラインザールにてライヴ録音
★2008年3月5日発売
★演奏時間:約55分
★通常CD

私の場合(と言うより、オーディオ好きの方は皆そうだろう)、演奏と録音が両立したディスクをひたすら探しているのである。
このディスクはそんな意味において、まさに”ビンゴ”の1枚だと自信を持っておすすめ出来る。
ポリーニのモーツァルトと言えば、ベームと組んだ70年代の名盤がある。
残念ながら、私はそちらは聴いた記憶がない。
けれども、このCDはそちらを聴いているいないに関わらず、非常に新鮮な感動を与えてくれるものだ。

昔は貴公子然ともてはやされたポリーニも、もはや誰もが認める円熟の境地に入った。
従って、最近の演奏(ショパンは勿論、ブラームスのピアノ協奏曲やベートーヴェンのそれも)は大変な充実度であると思う。
ここでのモーツァルトも彼の演奏の素晴らしさが際立ったものだと言える。
とにかく響きが美しく、何とも言えないしなやかさが横溢している。
これをモーツァルトらしいと言わずに何と言おう。
それくらい、充実し切った演奏である。
ウィーン・フィルとの呼吸もピッタリで、非のつけどころがない。
収録はライヴだが、かえって程よい緊張感が感じられると共に、ポリーニの唸り声もリアルでなかなか良い。
聴き始めると、55分間があっと言う間に過ぎてしまう。

録音もとにかく素晴らしい。
一言で表現するならば、従来の音の限界を打ち破ったような印象である。
音は立体的で、音場もSPの向こうにしっかりと広がる。
(我が家のSPは音像型であるはずなのに、このような感じ。)
各楽器の音色も非常に繊細だが、コントラバス等の力感もちゃんと出るのだ。
加えて、ライヴ録音の効果か生演奏的な音であり、いつものDGGの虚構的な感じが少ない。
う~ん、これは素晴らしい!

一方、弦のしなやかな響きと転がる様なピアノの柔らかい音が絶妙だ。
言葉にすれば陳腐だが、とにかく一聴に値する演奏である。
空間に溶け込んで行く間接音も大変美しく、ムジークフェラインザール(ウィーン学友協会大ホール)の音の素晴らしさを改めて知る思いだ。
DGG(ドイッチェグラモフォン)の音は美音系で、確かに”嘘っぽい”音の傾向にはあると思う。
けれども、本当に良いものは、そうそう簡単には否定出来ないのが正直なところ。
CDが生まれて四半世紀強、オーディオ的な音の嗜好を超えた次元に位置する1枚だと言えよう。

これぞSACDと聴きまごう1枚だと思う。
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by danna307 | 2009-05-21 23:23