”MTT”ことマイケル・ティルソン・トーマスと”SFS(サンフランシスコ交響楽団)”について少し前に触れた。
その際に、彼らのマーラー・チクルスに対する期待も記した。
今回は早速入手した彼らの「交響曲第5番」についてのレビューをお届けする。

MTT&SFSのマーラー・チクルスは現在も進行中である。
今まで完了したのは次の通り(カッコ内は録音日時)。

交響曲第1番「巨人」(2001年9月19日~23日[ライヴ])
交響曲第2番「復活」(2004年6月)
交響曲第3番(2002年9月25~29日[ライヴ])
交響曲第4番(2003年9月24~28日[ライヴ])
交響曲第5番(2005年9月28日~10月2日[ライヴ])
交響曲第6番「悲劇的」(2001年9月12日~15日[ライヴ])
交響曲第7番(2005年3月9~12日、DSDレコーディング[ライヴ])
交響曲第9番(2004年9月29日~10月3日)
大地の歌(2007年9月26日~29日[ライヴ])
嘆きの歌(1996年5月29日~31日&6月2日[ライヴ])

上記の通り、主なところは第8番「千人の交響曲」を残すのみとなっている。
レーベルは「Avie」で残念ながら個人的には馴染みがない所。
当然、国内盤も発売されていない。
しかしながら、「HMV」でのレビューは大変好意的なものが多く、ジンマン&チューリヒ・トーンハレ管のものと共に是非一度は聴いてみたいと思っていた。

ものは試しとチョイスしたのは5番。
有名且つ定番的な曲だが、オーディオ的にもすこぶる良い素材である。
e0002472_15195176.jpg

いやぁ、これは素晴らしい演奏&録音である。
まず、最初に賞賛の言葉を申し上げたい。

表現が陳腐で大変申し訳ないが、個人的に5番では最高の盤だと思う。
それ位、私にぐいぐいと訴求して来たのである。
けれども、演奏自体にはあくどさや必要以上の遅さは全く無い。
逆にすがすがしい程のスッキリしたマーラーである。
にも拘らず、この重厚感は何だろうか・・・。
これは紛れも無くマエストロ達による最高の演奏であると思う。
指揮者のセンスは勿論だが、オケのレベルの高さにはただ驚嘆するばかりである。

MTT&SFSの演奏は、スコアに忠実な、主観を排した演奏だと言われているが、そのようなインプレはここでは全く意味を為さないようだ。
それは一切の論評等を超えた、絶対的な名演だと言える。
一方、音自体は大変ナチュラルで大袈裟な誇張や残響音のコントロール等は全く感じられない。
従って、リアルな印象を一際強めていると言える。
換言すれば、実際のコンサートのイメージなのだ。
加えて、音のバランスも大変自然で好ましい。
細部をことさら強調したような音ではないし、それぞれの楽器群の定位や大きさも実に適切。
確かに、ほんの僅か聴いただけではこの音の良さは分からないかも知れない。
けれども、聴けば聴くほど、その素晴らしさが体感出来ることだろう。
これは今まで聴いたどのレーベルにも似ていない、素晴らしい音だと感じた。

他人の評価はあまりあてにはしない私ではあるが、今回はさすがに自分の情報収集能力の欠如を素直に恥じたいと思う。
この様な素晴らしい演奏が存在するとは全く知らなかった。
マーラーが好きな方は勿論、クラシック音楽愛好者、いや音楽好きの人々、はたまたオーディオ好きの面々まで絶対おすすめしたい一枚である。
個人的には全集で揃えたいと考えている。
[PR]
by danna307 | 2009-03-22 16:19 | SACD&CD | Comments(2)

ボサノバの名盤として名高いのが本日ご紹介する「ゲッツ/ジルベルト」である。
このアルバムのパーソネルや製作された沿革等は本稿では触れない。
ただ、純粋に音楽だけに耳を傾けて欲しい。
それだけで貴方はひたすらに心地よい音楽に身を任せ、音楽の素晴らしさを十二分に体感すること間違いない!

私は時々、ボサノバは人間本来の感覚に根ざしているのではないかと思うことがある。
その音は実に自然にゆっくりと私の体内に入って来るからだ。
別に気負う訳でもなく、集中する必要もない。
穏やかだが深い音楽は人間の五感を快く刺激するかの様だ。
これぞ、まさしく音楽の醍醐味だろう。
e0002472_1657274.jpg

<曲目>
1. イパネマの娘
2. ドラリセ
3. プラ・マシュカー・メウ・コラソン
4. デサフィナード
5. コルコヴァード
6. ソ・ダンソ・サンバ
7. オ・グランジ・アモール
8. ヴィヴォ・ソニャンド

注目すべきは、やはり音質である。
SACDの良さが十二分に引き出されたものだ。
通常のCDとは比べ物にならない程の生々しさ、奥行き、音の躍動・・・素晴らしい。
まるで眼前で演奏している様だ。
これが1963年の録音とは信じられない。
(蛇足だが、通常盤CDも所有しているが音が平面的でなかなか聴く気になれなかった。今は最高の愛聴盤の一つとなっている。)

恐らくリマスターされた音源を用いているのだろうが、このような旧盤でもSACD化の威力は凄まじいものがある様だ。
そう言う意味で、ビル・エヴァンスのアルバムも格好の素材となろう。
レコードもいいが、この様なSACDもなかなかいい。

一日の疲れを癒すには最高のアルバムであると思う。
[PR]
by danna307 | 2009-03-12 17:03 | SACD&CD | Comments(4)

私は上位フォーマット支持者であることは度ある毎にお伝えしている通りである。
即ち、同じソフトならCDよりSACDを選ぶ。
ところが、少し前まではSACDを取り巻く状況はあまり芳しいものではないように思えた。
それがこのところ、その状況が少しずつ好転しているようなのだ。
具体的には、ハード側の新製品の相次ぐ発売、ソフト側の安定供給が挙げられる。
個人的にはようやく一安心した、と言うのが正直な気持ちである。
このまま(ブルーレイの様に爆発的ではないにしろ)徐々にハード、ソフト共に充実して行って欲しいと強く思うのは私だけではあるまい。

さて、今日ご紹介するSACDは大変有名なアルバムである。
オーディオ雑誌をめくれば”高音質SACD”として必ずレビューが掲載されているもの。
素晴らしいジャケットを見ただけで「あれか!」とお分かりになる方も多いと思う。
本アルバムは1982年の作品で、かのブライアン・フェリーが在籍していたグループ「Roxy Music」の最後の作品として知られている。
e0002472_21295319.jpg

<曲目>
1. More Than This
2. The Space Between
3. Avalon
4. India
5. While My Heart Is Still Beating
6. The Main Thing
7. Take A Chance With Me
8. To Turn You On
9. True To Life
10. Tara
11. Always Unknowing (bonus track)

何と言っても有名なのは「1」だが、その他の曲どれもが彼等らしく”濃い”音楽だ。
際どい色気と芸術性、そして表現不可能なクールさ。
同時にアナログっぽい独特のハイファイな音。
まぁ、言うなれば”禁断の世界”か。
メロディアスで明るいアメリカンポップスもいいけれど、たまにはこの様なひたすら怪しい音楽に身を委ねるのも一興だろう。
1984年のフェリーのソロ作品「Boys And Girls」も同様の路線を継承している様だが、アルバム自体の独創性と完成度は本作の方が評価されるだろうと思う。

このアルバムの夢幻の世界が見事に再生出来るシステム・・・それはオーディオ好きの一つの目標であろう。
SACDを強く支持する者の一人として、やはり推薦しなくてはならない一枚である。

★蛇足だが、前回のダイアナ・クラール同様、アマゾン等を利用すれば2千円ちょっとで購入出来るのも非常に良いと思う(しかも在庫も豊富らしい)。
[PR]
by danna307 | 2009-03-10 21:36 | SACD&CD | Comments(0)

現代のジャズ界屈指の人気を誇るダイアナ・クラールの2002年の作品。
彼女のアルバムの中でも最高傑作との呼び声が高いのが本作。
実際、私も購入してみて演奏、録音ともに文句なしのトップだと強く感じた次第。

<曲目>
1. Let's Face the Music and Dance
2. Devil May Care
3. Let's Fall in Love
4. When I Look in Your Eyes
5. Popsicle Toes
6. I've Got You Under My Skin
7. I Can't Give You Anything But Love
8. I'll String Along With You
9. East of the Sun (And West of the Moon)
10. Pick Yourself Up
11. Best Thing for You
12. Do It Again
13. Why Should I Care

とにかく、楽曲とアレンジ、演奏の素晴らしさは彼女のアルバムの中でも白眉であろう。
パーソネルについてはここでは敢えて言及しない。
とにかく聴いてみて欲しい。
50~60年代のモダンジャズとは明らかに違うけれども、ジャズの今がここにある。

このディスクはオーディオ的にも聴き所が満載である。
これ程、楽曲と録音が両立したポピュラーSACDは珍しいと思う。
加えてに輸入盤は価格が安い。
僅か2千円ちょっとで、音楽の素晴らしさとオーディオ的醍醐味を味わえる・・・何て素敵なことなのだろう!
これは絶対に買うしかない。
ジャズ好きに限らず、幅広い層の皆さんに是非、一度聴いて頂きたい1枚だ。
但し、本ディスクはSACDレイヤーのみで所謂”ハイブリッド盤”ではないのでご注意を。
e0002472_21541253.jpg

★私事で恐縮だが、今回で投稿記事が500となった。いつもお読み下さって皆様には心よりお礼を申し上げる次第である。
[PR]
by danna307 | 2009-02-10 21:54 | SACD&CD | Comments(2)

当ブログで「SACDソフトレビュー」と言うカテゴリーを作ってはみたものの、時間ばかりが過ぎてしまった。
別にさぼっていた訳ではないのだが、何故かその気になれなくてズルズルと来てしまった様だ。
しかし、この半年くらいの間、SACDソフトを取り巻く環境は大きく変化したように思える。
特に「SHM-CD」が大挙して発売され始めた秋以降は、ともすれば”SACD不要論”までも囁かれる始末で、上位フォーマット支持者の一人としては黙っていられなくなったのが本音である。

そう言う訳で、当ブログをご覧頂いている皆さんに、少しでもSACDの良さをお伝えしたいと言う強い思いもあって、このコンテンツを開始することにした次第である。
e0002472_12205415.jpg

栄えある第1回はカーペンターズのベストアルバム「Singles 1969~1981」である。
彼らは多数のベストアルバムを出しているが、楽曲の素晴らしさは勿論、音質の良さにおいてもダントツで優れているのがこのアルバムだと思う。
個人的には、トラック21「Calling Occupants of Interplanetary Cra」の代わりに「 I Need to Be in Love 」が入っていれば文字通り文句なしのベストだったと思うが、それはここでは大した問題ではない。

<曲目>
1. Yesterday Once More
2. We've Only Just Begun
3. Superstar
4. Rainy Days and Mondays
5. Goodbye to Love
6. I Believe You
7. It's Going to Take Some Time
8. This Masquerade
9. Ticket to Ride
10. Top of the World
11. Only Yesterday
12. Hurting Each Other
13. Please Mr. Postman
14. Merry Christmas Darling
15. Sing
16. Bless the Beasts and Children [From Bless the Beasts and Children]
17. I Won't Last a Day Without You
18. Touch Me When We're Dancing
19. For All We Know [From Lovers and Other Strangers]
20. (They Long to Be) Close to You
21. Calling Occupants of Interplanetary Cra

私はカーペンターズの音楽を心から愛している者の一人である。
彼らの歌声を耳にしたのは小学校2,3年生の頃であったと記憶しているが、それは私の兄が実家にあった「TRIO」のステレオで再生していたLPであった。
それ以来、私は彼らの全ての音楽を聴き、アルバムは殆ど収集して来た。
彼らの音楽は今まで数え切れない位聴いて来たが、いまだに全く飽きることがない。
それは彼らの楽曲やアレンジの良さは勿論だが、今は亡きカレン・カーペンターの素晴らしい歌声によるところが大きいと思う。
やや低めだが、量感のある、透明感をも伴った少しだけハスキーな彼女の声は、まさしく正統的且つ抜群の歌唱力をもって、聴く者に音楽の楽しさと美しさを教えてやまない。

私は彼らの音楽に出会えて本当に幸せだと感じる。
そして、SACDと言う上位フォーマットを得て、彼らの音楽はますますその素晴らしさに磨きが掛かったと言って良いだろう。
それは「SHM-CD」の比ではない。
SACDらしい、伸びやかな音。
SACDの独壇場であるニュアンス豊かな音。
十分に艶の乗ったカレンの歌声と鮮やかに分離するバックの演奏とコーラス。
ゆったりと美しく消えていく倍音成分(エコー)・・・。
ああ、音楽を心から楽しむと言うのはこう言うことなのだ。

とにかく、音楽を愛する皆さんに、是非一度聴いて頂きたい。
数あるSACDソフトの中で、まさにイチオシのアルバムである。
[PR]
by danna307 | 2009-01-31 23:55 | SACD&CD | Comments(2)

SACDソフトはまだまだ数が少ない。
そもそも、クラシック音楽においてはそのタイトル数が一番多いジャンルのはずなのだが、特に国内盤の少なさは実に嘆かわしい。
勿論、「エクストン」の様に頑張ってハイブリッドディスクを毎月コンスタントに出しているレーベルもあることはある。

さて、今回は「SACDソフトレビュー」ではないのだが、この記事のトップにあたって、最近分かったことを記しておきたい。

それは国内盤と輸入盤の価格差(仕様の違い)についてである。

その昔、CD黎明期の頃、国内盤CD1枚の値段は結構高かった。
テラークレーベルが4,500円
グラモフォンレーベルが4,200円
デンオンレーベルが3,800円
まぁ、こんな感じであった。

そして、いわゆる”ポリグラム系”の盤は西独プレス(ハノーヴァー)であった。
つまりディスクのみならずケースごと輸入して、日本語解説と”帯(当時はシール状のもの)”を付けたものだったのだ。
毎月の新譜を心から楽しみにしつつ(当時はネット環境なんぞも無かった)、せっせとレコード店に足を運んではどれを購入すべきか悩んだものだった(笑)。
今思えば、高価である故、本当に一生懸命CDを買っていたのだと思う。

話が少々それてしまったが、SACDの場合はどうだろうか?
結論から言えば、上記と同様のことが起こっているように思われる。
つまり、「国内盤」と言ってもかつての「国内盤」同様、日本語解説と帯を付けただけの仕様なのだ。
少なくとも「ユニヴァーサルクラシック系(昔のポリグラム系)」はそのようだ。
e0002472_10382585.jpg

気になる価格だが・・・
国内盤 → 希望小売価格:3,465円(税込)
輸入盤 → HMVでオンライン価格:2,731円(同)、因みに一般価格:3,035円(同)
        更に”マルチバイ価格”なら2,277円(同)
このように、輸入盤とは最低でも400円程度の差が生じる。
従って、SACDを求める層はHMV等の輸入盤取扱通販店を利用することになるのは当たり前の話だろう。

CD黎明期において、上記の如く形ばかりの「国内盤」を発売せざるを得なかった背景には、CDと言う新しいメディアが売れるかどうか分からなかったこと、莫大な初期設備投資に踏み切れなかったこと、又はそれが間に合わなかったこと、の3点が挙げられよう。

いずれにしても、新しいメディアは常に一部のマニア層から徐々にその裾野が広がって行くものだと再認識した次第。

色々書いたが、SACDそのものは大変素晴らしい、と最近改めて感じている。
次回からレビューをご紹介したいと思う。
乞う、ご期待!
[PR]
by danna307 | 2008-07-29 10:38 | SACD&CD | Comments(0)

「SCD-1」がやって来て以来、私は至福のときを過ごしている。
しかしながら、じっくり聴く時間がなかなか取れないのが辛いところ。

又、素晴らしい機器を通して音楽を聴くことにより、芸術への畏敬の念が一層強くなったようだ。
従って、以前より集中して音楽を聴くようになった。
同時に、もはや”CD-R(コピー)”では私の耳は満足しなくなってしまった(笑)。
要するに「SCD-1」を通じて音楽を聴く、と言う行為の(個人的な)絶対的レベルが上がってしまったようなのだ。
換言すれば、集中力が増して来た為、オリジナルCDとそのコピーの差が明瞭に感じられるようになって来たのだろう。

さて、上記の意味も込めて本日新しいカテゴリーを追加した。
文字通り、私が買い求めたSACDソフトのレビューである。
ネット上ではSACDの普及率の関係もあってか、なかなかこのような記事は多くは無いように感じられる。
私の駄文によって少しでも皆さんのお役に立てれば望外の幸せである。

乞う、ご期待!
[PR]
by danna307 | 2008-05-28 11:24 | SACD&CD | Comments(0)