2008年 06月 01日
2008/06/01(日) プジョー「308」試乗!
そしていよいよこの6月から販売が開始された。
「プジョー宮崎」さんにも試乗車が入ったことを耳にし、早速試乗へと赴いた。
以下、例によって勝手気ままなインプレッションをお伝えしたい。
但し、私はかなりのプジョー贔屓であることを予めお断りしておく。
「307」に乗る者にとって「308」は否応なしに気になる存在である。
勿論、私もその例外ではない。
嘗て実物の「307」を目にしたときの驚き。
そして実際に運転してみたときの感動。
私はそれらを忘れることは無いだろうと思う。
実際、「307」の完成度の高さは一昔前のプジョー車を知る者にとってはまさに”晴天の霹靂”だったと言えよう。
続く「307SW」や「307cc」、「407」や「407SW」、更に「207GT」や「207cielo」等々、ますます完成度は上がったように感じられ、フランス車も変わったものだ、と感慨もひとしおだったことを思い出す。
では今回の「308」はどうか?
今回、試乗させて頂いたのは「Cielo」と言う高級グレード。
(本当は現在のベーシックグレードの「Premium」を試乗してみたかったが)
このグレードではバンパーの形状が若干異なるとともに、タイヤがインチアップし、電動運転席シートやプジョーお得意の「パノラミック・ガラスルーフ」が装備され、シートやインテリアが革仕様になり、重量が50kgほど増えている。
ただ、エンジンの出力やブレーキ、AT等は「Premium」と同じである。
結論から言おう。
「308」は素晴らしい完成度である、と。
基本的な所は「307」を継承したものだが、徹底的なネガ潰しが行われている。
それは一度ステアリングを握れば、ボディの大きさや4ATの問題等をドライバーの意識から遥か彼方に押し流してしまう位、魅力的なクルマに仕上がっているのだ。
(1)流麗なスタイリングと広く明るく運転し易い室内
「5世代」から比較すれば、かなりアグレッシヴにはなったが結果的には”今風な”端正さが感じられるいいデザインだと思う。
個人的にはフロントのフォグランプの処理が好み。
確かに全幅は肥大化し過ぎの感は無きにしもあらずだが、田舎住まいの身にすればそう不便は感じないだろうと思う。
実際に乗った感覚では室内の印象は「607」の広さと同様。
運転感覚は「307」とほぼ同じに感じられた。
着座位置や運転席からの眺め、ルーミー且つ明るい室内、その何もかもが慣れ親しんだプジョーの意匠に沿ったもので一種の安心感が漂う。
私たちはこの運転席に座り、しっとりと手に馴染むステアリングを握って節度感のあるアクセルペダルとブレーキペダルを操って、思いのままにこのクルマを走らせることが出来るのだ!
(2)絶品のステアリング
”走る”、”曲がる”、”止まる”はプジョーのお家芸だと言われるが、「308」でもその美点は大いに継承されているのが実に印象的。
「207」では電動パワーステアリングを導入したが、今回は「307」同様、油圧に戻された。
「307」乗りとしてはこの効果は絶大で、とにかく操作し易いのである。
重くもなく、軽くもなく、しなやかで節度のあるステアリング・・・これはプジョーの真骨頂だと言えよう。
このステアリング性能だけでも「308」を買う価値があると言っても過言ではないと思う。
絶品のステアリングとしなやかな足回り・・・そう、これが「308」の一番のセールスポイントなのだ。
(3)高い独自のボディ剛性
「207GT」試乗時に感じた”一体感”または”塊感”が更に進化したようだ。
大き目のボディ、しかも5ドアにもかかわらず、その剛性は素晴らしい。
室内の作り込みの良さも加わって、余裕を持った”一体感””塊感”を満喫出来る。
これは素晴らしい。
エンジンや室外のノイズも必要最低限かつ十分なもので運転している気分を盛り上げてくれる。
ただ、個人的には天井のガラスは不要。
(4)やや固めだがドイツ車とは違うしなやかな乗り心地。
私の「307」は初期型である。
以前も触れたが、この時期はプジョーの過渡期だったと言える。
前輪のしなやかさはまずまずだったが、後輪のバタバタ感は熟成の浅さを痛感したものだ。
一方、マイナーチェンジ後の「307Style」を試乗したとき、その優しい乗り心地に感動した。
「ああ、これが本来のプジョーの足だ」と。
けれども、少々柔らか過ぎな印象も否めなかった。
即ち、長時間のドライブでは少々疲れるのではないか、と言う危惧があったのだ。
その後「207GT」の足の確かさを知り、さすがと言う印象を強くした。
そして今回の「308」。
この感覚は素晴らしい。
それはさながら・・・しなやかだが適度な剛性感を内包し、同時に鷹揚さと繊細さを兼ね備えたサスペンション・・・とでも表現すれば良いのだろうか。
いずれにしても、もうこれ以上、何を望もうか(!)と言うレベルだと感じた。
後輪に”マルチリンク”を採用せずして、これだけの仕事が出来る・・・やはり伝統の力はたいしたものだと思う。
乱暴に言えば、目新しいことは何もやっていないのだから(笑)。
それでも、上記の通り。
分かり易く言えば「307ccの感覚を更に推し進めた印象」とでも申し上げれば良いだろうか。
それは「307」で感じられた一種不自然な感じとは大きく異なる、非常に安定したものだ。
同時にそれはVW等をはじめとするドイツ車とも明らかに違うものだ、と言うことも乗る者には徐々に分かって来るだろう。
「嗚呼、プジョーはこの次元を目指していたのだな」と言う、一種感慨とでも言うべきものに私の胸は満たされたのであった・・・。
(5)実に扱いやすいエンジン
「307」の2Lのエンジンは傑作だと思う。
運動性と経済性と耐久性、この3要素を非常にバランス良くまとめたものだ。
けれども、プジョー伝統の”低速トルクの細さ”は相変わらず存在していた。
私はこれはこれでプジョーの美点だと考えていたが、時代がそれを許さなかったようだ。
そこで「207」でのトルクフルなエンジン(1.6Lターボ)の投入となった訳だ。
そう、基本的には「207GT」のエンジンと同じである。
ただ、「308」に合わせてチューニングが施してあるようだ。
それは実際、走らせてみればすぐ体感出来る。
とにかく、発進と加速が実にスムーズ。
そして、それはターボエンジンであることを全くと言ってよいほど感じさせないものなのだ。
高速性能は分からないにしても、実用域でこれだけのパフォーマンスを発揮出来るのは素晴らしい。
但し、これは決してスポーツタイプではないようだ。
その証拠に「クオーン」と抜ける音ではない(笑)。
その点、プジョー車は実用を第一に考えているフシがある。
それでも、吹け上がりと吹け下がりの俊敏さはまずまずであろう。
後は燃費がどれくらいか、と言うことと、メンテのし易さはどうか、と言う2点がクリヤー出来れば何も言うことはない。
(6)熟成された4AT
「308」に搭載されるATは、かの「AL4」である。
けれども、それは嘗ての「AL4」ではない。
その熟成の度合いは予想を大きく超えているのだ!
確かに4段では時代遅れだと言う指摘もあろうし、実際その通りかも知れない。
今回の試乗でも「あと1段あれば・・・」と言うシーンが何回もあった。
(宮崎市内を走ったのだが、回転数がある程度上がらないとマニュアルモードでも4速に入らないのだ。)
しかしながら、発進時のスムーズさは言うに及ばず、加速時のギヤがアップしていくときのジェントルかつ剛性感溢れる感じはなかなかの完成度だと思わせるものがあった。
特にマニュアルモードでの運転は「これで十分」と思わせる楽しさが横溢していた。
「307初期型」のそれは正直、高品質だとは言えなかっただろう。
それが「308」では全くの別物と言って良いほどなのである。
後はライバル達へのアピールと経済性に寄与するべく5AT或いは6ATの登場が待たれるところだろう。
(7)インテリアの品質
遥か昔のフランス車と言えば”プラスチッキーな内装”が当たり前であった。
それが時代とともに洗練の度合いを増し「207」では大幅な向上をみた。
「308」でも基本的にその路線であると言える。
しかしながら、コスト的に抑えた感じがあまりしない。
つまり、かけるべきコストはしっかりかけようと言う考えが伺われる。
もう、こうなって来ると、国産車以上の品質の高さが漂って来るようだ。
椅子の形状、メーターの意匠、エアコンのスイッチ類のデザインと感触、各パーツの取付精度や配色等々・・・。
個人的には現時点での最高のプジョーと呼びたい。
(蛇足だが、運転席シートの座長が若干短いような気がした。これはpremiumの試乗を待ちたいと思う。)
(8)改善を望みたい点
とまぁ、いいことずくめの「308」であるようだが、個人的に不満な点もいくつか存在するのも事実だ。
しかもそれは非常に重要な部分でもあると思うので、メーカーには改善を強く望みたい。
★左ハンドル仕様のワイパー
「307」同様、バタフライ式のワイパーであるが、拭き残しが心配である。
構造上、無理なのだろうか?
★熱くなりがちなエンジンルーム
「207」と同じエンジンを搭載しながらも、エンジンルームの光景はかなり違うように思える。
その関係か、エンジンがかなり発熱するようだ。
メーカーもそれを十分に分かっているようで、ボンネット裏側の断熱材は全モデルに装着されているし、ターボチャージャー周辺は(金属の)遮熱材で覆ってある。
又、エンジンルームも前方部分はかなり空間を保つように作られている。
それでもボンネット先端一帯はかなり熱くなるようだ。
まさかこの為に塗装が劣化したり、エンジンルームから発火したりはしないだろうが、実際所有する立場になれば結構心配になる部分だと思う。
(9)結論
一言で言えば「買い!」である。
それは価格がどうこうと言う問題ではなかろう。
それほど「308」の完成度はすこぶる高い。
各種安全装備は勿論、トレンドであるプレミアム・カー路線を標榜する各種贅沢装備も枚挙に暇が無い程だ。
これなら「PJ(プジョー・ジャポン)」が自信を持って売り出そうとする気持ちも十分頷ける。
ただ、個人的には「premium」にやがて追加されるであろう5MTモデルがイチオシだと思う。
我が「307」もMTであったからこそ、深刻な走行系のトラブルとは無縁でここまで来れたのだと思う。
勿論、賢いATの恩恵は大きいとは思うが、フランス車はやはりマニュアルで乗りたい。
又、「パノラミック・ガラスルーフ」は要らない。
「ディレクショナル・ヘッドライト」も不要。
「オートワイパー」や「シートヒーター」、更に「クルーズコントロール」も不要。
このようなシンプルな装備の5MT車が250万くらいで出ないものだろうか?
(重量ももっと軽くなり、運動性能ももっとアップすると思うのだが)
「308」は「207」と共に新世代プジョーの中核を成すクルマであろう。
繰り返すが、その完成度は非常に高い。
そしてそのレベルは「Cセグメント」をある意味超えている、とさえ思えてくる。
とにかく、「308」は本当に良く出来たクルマであるだけに日本でもそこそこのセールスを残して欲しいものだ。
頑張って売って下さい、プジョー宮崎さん!
★プジョー・ジャポンの「308」関連サイトはこちら!
★プジョー宮崎さんのサイトはこちら!
かなり完成度が高いみたいですね
1度試乗したいなぁと思いつつ、207も試乗出来てません
これは、1度試乗しなければ!
あと、装備について、オートワイパー、オートライトは
私も不要だと思います
お馬鹿なので、結局マニュアル操作になるのですよねぇ。。。
ヘッドライトが動くのも要らないです!
あと、気になったのが、エンジンルームの発熱です
BMWの方も、335iは、かなり油温が上がるそうです
BMW系のターボは、熱対策が大丈夫なのか?やや心配しています
大体の感想はダンナさんと同じです。かつて306から307に乗り換えたときは、進化ではなく別物と感じましたが、308は307からの順当な進化だなと思いました。ATもかなり改良されていますね。おそらくSWで6ATになると重いますが、4速でも問題ないと感じました。
コレに乗ってしまうと207がチープに感じます。ベースクレードでの207と308の価格差は約50万。この価格設定と内容から言うと、207はやや高価、308はなかなか頑張った価格かなという印象です。
でも・・・・・あと20万ほど安いとベストですね(笑)
私も試乗させていただきました。
結果は、ダンナさんと同じく『買い!』です(値段をのぞけば:笑)。
407・207ときたエクステリアデザインもしっくり来なかったのですが、308ははまってましたね。
30X系については、406納車前に代車として貸してもらったとき九州自動車道をここでは書けないスピード(しかも雨の日)で走った時そのポテンシャルの高さに驚愕した記憶が今でも蘇ります。(笑)
ダンナさんと同じく、早く、プレミアムのMTに乗りたいです。
今度の308はトルクが増したので、ぜひ、MTで乗りたいですね。
プレミアムに乗った次の日、クラウンハイブリッドに、試乗しに行ったのですが、600万するクラウンのほうが安っぽい!
訴えかけてくるものが極々少ないんですよね~。
308はなかなかの完成度でした。
まぁ、基本的には307の延長線上にある訳ですから、当たり前と言っちゃえばそうなんですが。
けれども、そう言う部分が欧州車の最も得意なところなのでしょう。
まぁ、あとは仰る通り、日本仕様をもう少しシンプルにしてもらえば言うことないんですが、ここは他社との競争上致し方ないところだと思います。
BMWのターボ車って、そうなんですかね。
ミニも検証してみたい・・・。
そちらも試乗されたのですね。
結構良かったのではないでしょうか?
一躍、次期候補のトップになったりして(笑)。
実際、これだけ完成度が上がれば何も求めるものが無くなりますよね。
燃費だけが唯一気がかりですが。
個人的には、買うならMTなので4ATの件は不問ですが、6ATが載るのも時間の問題らしいですし、この先楽しみです。
お元気そうで何よりです。
試乗されたようで・・・好印象だったでしょ!
私もここまで出来が良いとは思っておりませんでした。
値段は、まぁ、相応ではないかと。
昔は低品質でもっと高価格でしたし(笑)。
仰る通り、一連のアグレッシヴなデザインも308で完成の域に達した感がありますね。
又、仰る通りプジョーのポテンシャルはなかなかのものがあると私も思います。
又、お会い致しましょう!
どうも!
ブログもじっくり読ませて頂きました。
何事に対しても厳しい山田さんが、あそこまで賛辞を送られているので唸ってしまいました(笑)。
やはり、308はいい車だと思います。
そして、同様に是非MTで乗りたいと感じました。
私的にはプジョーの生命線はステアリングだと思うんですよね。
サスは良くも悪くも現代的な味付けになっているので、ここは賛否両論でしょうけれども、ステアリングに関してはその美点は変っていないのではないでしょうか。
仰る通り、内外装のレベルは国産の比ではないと私も思います。
国産メーカーには頑張って欲しいものです。
又、PJにはベーシックグレードの早期導入を私も声高に望みたいですね。
頑張れ、プジョー・ジャポン!